会  津  三  十  三  観  音



 日本統一された江戸初期、会津領内でも伊勢参りや西国三十三札所巡りが流行っていた。
 会津の領主となった保科正之公が、行けない人のために、勧請したと伝えられている。
 古来より会津は仏都として栄えており、特定の寺院の力を削ぐ目的もあったようである。
 農閑期の女性たちが楽しみにしていて、信仰とともに娯楽でもあった。

 ほとんどの観音堂は、村々の中に、ひっそりと佇んでいる。
 建物の多くは素朴すぎるほど小さいが、いにしえに思い巡らせる場所でもある。
 車なら、2泊3日の巡礼コース。





観音菩薩とは

 地蔵菩薩や虚空蔵菩薩などと同じ仏教の菩薩の位にある仏。
 一般的には観音様と呼ばれ、日本で最も信仰されている菩薩である。
 般若心経の冒頭に記載されている菩薩のため、智慧の象徴となっている。
 「観世音菩薩」「観自在菩薩」「救世菩薩」などとも呼ばれる。
 「慈母観音」と呼ぶことから女性と思われがちであるが、本来は男性である。
 現在では、性別はないとされている。

 観音菩薩は三十三の姿に変身して現れ、衆生を救うと説かれている。
 観音の普門示現(ふもんじげん)という。


三十三身の種類

仏身(ぶっしん) 辟支仏身(びゃくしぶつしん) 声聞身(しょうもんしん) 大梵王身(だいぼんおうしん) 帝釈身(たいしゃくしん) 自在天身(じざいてんしん)
大自在天身(だいじざいてんしん) 天大将軍身(てんだいしょうぐんしん) 毘沙門身(びしゃもんしん) 小王身(しょうおうしん) 長者身(ちょうじゃしん) 居士身(こじしん)
宰官身(さいかんしん) 婆羅門身(ばらもんしん) 比丘身(びくしん) 比丘尼身(びくにし) 優婆塞身(うばそくしん) 優婆夷身(うばいしん)
人身(じんしん) 非人身(ひじんしん) 婦女身(ふじょしん) 童目天女身(どうもくてんにょしん) 童男身(どうなんしん) 童女身(どうにょしん)
天身(てんしん) 龍身(りゅうしん) 夜叉身(やしゃしん) 乾闥婆身(けんだつばしん) 阿修羅身(あしゅらしん) 迦樓羅身(かるらしん)
緊那羅身(きんならしん) 摩護羅迦身(まごらかしん) 執金剛身(しゅうこんごうしん)  



三十三身の名称 ・・・ 天明3(1783)年刊行の「仏像図彙」

楊 柳(ようりゅう) 龍 頭(りゅうず) 持 経(じきょう) 円 光(えんこう) 遊 戯(ゆげ) 白 衣(びゃくえ)
蓮 臥(れんが) 滝 見(たきみ) 施 薬(せやく) 魚 籃(ぎょらん) 徳 王(とくおう) 水 月(すいげつ)
一 葉(いちよう) 青 頚(しょうけい) 威 徳(いとく) 延 命(えんめい) 衆 宝(しゅうほう) 岩 戸(いわと)
能 静(のうじょう) 阿 耨(あのく) 阿摩提(あまだい) 葉 衣(ようえ) 瑠 璃(るり) 多羅尊(たらそん)
蛤 蜊(こうり、はまぐり) 六 時(ろくじ) 普 悲(ふひ) 馬郎婦(めろうふ) 合 掌(がっしょう) 一 如(いちにょ)
不 二(ふに) 持 蓮(じれん) 灑 水(しゃすい)  




 
第一番 大木観音  第一番 大木観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・常安寺(紅梅山、真言宗豊山派)

   ▲(喜多方市塩川町常世字上村906
                Tel. 0241-27-2986)
<御詠歌> よろづよの 願い大木の 観世音 あの世とともに 救け給えや


 
第二番 松野観音  第二番 松野観音

   ・千手観世音菩薩
   ・良縁寺(物宝山、曹洞宗)

   ▲(喜多方市慶徳町松舞家字松野730
               Tel. 0241-22-6453)
<御詠歌> 朝日射す 夕日輝く 御山寺 松野の里に 晴るる薄雲


 
第三番 綾金観音  第三番 綾金観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・金泉寺(長流山、曹洞宗)

   ▲(喜多方市豊川町綾金155)
<御詠歌> 露の身の 夢まぼろしの 世の中に 身を綾金(あやがね)と いで祈るらん


 
第四番 高吉観音  第四番 高吉観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・徳勝寺(吉例山、真言宗智山派)
   ・御朱印は、風間哲郎宅(高吉4410)
   ▲(喜多方市豊川町米室字高吉4415)
<御詠歌> 掻き分けて 参りて拝む 高吉(たかよし)の 仏の光 道ぞ輝く


 
第五番 熱塩観音  第五番 熱塩観音

   ・千手観世音菩薩
   ・示現寺(護法山、曹洞宗)

   ▲(喜多方市熱塩加納町熱塩字熱塩甲795
                 Tel. 0241-36-2031)
<御詠歌>  後の世を 救け給えや 観世音 慈悲熱塩に 参る身なれば


 
第六番 勝(すぐれ)の観音  第六番 (すぐれ) の観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・勝福寺(松島山、真言宗豊山派)
   ・銅鐘は会津刀の名工である古川兼定の作
   ▲(喜多方市関紫町三津井字堂ノ上630)
<御詠歌> ()照るとも 山の氷は よもとけじ 里に時雨の あらんかぎりは


 
第七番 熊倉観音  第七番 熊倉観音

   ・千手観世音菩薩
   ・光明寺(紫雲山、浄土宗)

   ▲(喜多方市熊倉町熊倉字837
          Tel. 0241-27-8651)
<御詠歌> 古里を ()るばる出でて 熊倉の 仏に参る 身こそ安けれ


 
第八番 竹屋観音  第八番 竹屋観音

   ・如意輪観世音菩薩
   ・観音寺(大雲山、曹洞宗)

   ▲(喜多方市塩川中屋沢台畑丙697
              Tel. 0241-27-2867)
<御詠歌> 今朝の日は 遥か竹屋の 観世音 急ぎ参りて 拝め旅人


 
第九番 遠田観音  第九番 遠田観音

   ・千手観世音菩薩
   ・大光寺(福聚山、曹洞宗)

   ▲(喜多方市塩川町遠田字谷地中3227
               Tel. 0241-27-7445)
<御詠歌> 後の世を 願う心を 照らすらん 遠田(とうた)の沖に 出づる月影


 
第十番 勝常観音  第十番 勝常観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・勝常寺(瑠璃光山、真言宗豊山派)

   ▲(湯川村大字勝常字代舞1764
           Tel. 0241-27-4566)
<御詠歌> 幾たびも 歩みを運ぶ 勝常寺 うまれ会津の 中の御佛


 
第十一番 束原観音  第十一番 束原観音

   ・馬頭観世音菩薩
   ・万蔵寺(流古山、天台宗)

   ▲(会津坂下町束原字東1516)
<御詠歌> 昔より ()が建てそめし ふるしきの 久しかるべき (つか)の原かな


 
第十二番 田村山観音  第十二番 田村山観音

   ・聖観世音菩薩
   ・養泉院(福聚山、真言宗豊山派)

景勝清水    ・鷹狩りの際に上杉景勝公が、美味と賞した
     「景勝清水」がある

   ▲(会津若松市北会津町田村山道上)
<御詠歌> 千早振(ちはやぶ)る 神ぞまことの 住吉の 重ねがさねの 杜のしめなわ


 
第十三番 舘観音  第十三番 舘観音

   ・聖観世音菩薩
   ・観音寺(福聚山、真言宗智山派)

   ▲(会津若松市北会津町舘)
<御詠歌> 遥るばると 参りて拝む よしみ寺 仏の誓い (あらた)なるらん


 
第十四番 下荒井観音  第十四番 下荒井観音

   ・聖観世音菩薩
   ・蓮華寺(松命山、真言宗)

   ▲(会津若松市昭和町1-10
        Tel. 0242-22-5540)
<御詠歌> 高の山 よそに嵐の 下荒井 三鈷(さんこ)の松に 法(のり)の朝かぜ


 
第十五番 高瀬観音  第十五番 高瀬観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・福昌寺(吉高山、曹洞宗)

   ▲(会津若松市神指町大字高瀬字高瀬2684
                  Tel. 0242-24-7502)
<御詠歌> 乗り得ても 心許すな 天小舟(あまおぶね) 高瀬の波は 時を嫌わず


 
第十六番 平沢観音  第十六番 平沢観音

   ・聖観世音菩薩
   ・国姓寺(広沢山、曹洞宗)

   ▲(会津若松市町北町中沢字平沢419)
<御詠歌> 参り来て 浮世をここに 忘れ置く 心及ばぬ 平沢の月


 
第十七番 中ノ明観音  第十七番 中ノ明観音

   ・聖観世音菩薩
   ・密厳院(妙吉山、真言宗豊山派)

   ▲(会津若松市町北町始字中明119-2)
<御詠歌> (まい)るより 頼みをかけし 観世音 沼木(ぬまぎ)の沼に 浮かぶ水鳥


 
 第十八番 滝沢観音

   ・聖観世音菩薩
   ・滝沢寺(一箕山)

   ▲(会津若松市一箕町滝沢道下)
<御詠歌> 滝沢の 落ちて流るる 滝の水 かかる末々 弥勒なるらん


 
第十九番 石塚観音  第十九番 石塚観音

   ・聖観世音菩薩
   ・蓮台寺(石塚山、真言宗)

   ▲(会津若松市城西町
      Tel. 0242-26-6185)
<御詠歌> 後の世を 願う心は 軽くとも 佛の誓い 重き石塚


 
 第二十番 御山観音

   ・聖観世音菩薩
   ・照谷寺(神護山、天台宗)

   ▲(会津若松市門田町大字御山字館山甲3080
                    Tel. 0242-26-0149)
<御詠歌> 遥るばる 登りて拝む 岩屋山(いわやさん) いつも絶えせぬ 松風の音


 
第二十一番 左下り観音  第二十一番 左下り観音

   ・聖観世音菩薩
   ・観音寺(左下山、臨済宗妙心寺派)
   ・別称、くびなし観音
   ▲(会津美里町大石字左下り1173
     会津美里町商工観光係 Tel: 0242-56-4914)
<御詠歌> 左下(さくだ)りは 岩にそびえて 懸造り いつも絶えせぬ 峯の松風


 
第二十二番 相川観音  第二十二番 相川観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・自福寺(空窪山、曹洞宗)
   ・「いぼ観音」と呼ばれ、願うと「いぼ」が取れる
   ▲(会津美里町字相川 365
     会津美里町商工観光係 Tel: 0242-56-4914)
<御詠歌> 朝日射す 夕日輝く 相川の 月もろ共に 出いづる御手洗


 
第二十三番 高倉観音  第二十三番 高倉観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・観音堂(高倉山、天台宗)

   ▲(会津美里町字高倉691
     会津美里町商工観光係 Tel: 0242-56-4914)
<御詠歌> 高倉は 宝を積みし 山なれば 人の願いも 満つる高倉


 
第二十四番 関山観音  第二十四番 関山観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・日輪寺(日当山、真言宗豊山派)
   ・一生に一度だけ、願いをかなえてくれる。

   ▲(会津美里町字関山1032
     会津美里町商工観光係 Tel: 0242-56-4914)
<御詠歌> 散る花を 止むる氷玉(ひだま)の 関の山 雲降り登る 道は一筋


 
第二十五番 領家観音  第二十五番 領家観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・常楽寺(延命山、曹洞宗)

   ▲(会津美里町字領家甲70
     会津美里町商工観光係 Tel: 0242-56-4914)
<御詠歌> 朝日射し 夕日輝く 領池の 大日(たいひ)の光り 有明の月


 
第二十六番 富岡観音  第二十六番 富岡観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・福生寺(日用山、天台宗)
   ・運慶の作
   ▲(会津美里町字富岡27
     会津美里町商工観光係 Tel: 0242-56-4914)
<御詠歌> 朝ぼらけ 賑わう里に 立つ煙 誠の人を 止むる富岡


 
第二十七番 大岩観音  第二十七番 大岩観音

   ・聖観世音菩薩
   ・仁王寺(臥竜山、天台宗)
   ・徳一上人の作
   ▲(会津美里町吉田字村中甲167
            Tel. 0242-53-2207)
<御詠歌> 山深く 池に流れの 音添えて 浮世の夢を 洗う松風


 
第二十八番 高田観音  第二十八番 高田観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・天王寺(高田山、天台宗)

   ▲(会津美里町字高田甲2968
          Tel. 0242-54-5054)
<御詠歌> 昔より 立つとも知らぬ 天王寺 奥の細道 轟の橋


 
第二十九番 雀林観音  第二十九番 雀林観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・法用寺(雷電山、天台宗)
   ・境内に「虎の尾桜」、近くに「米沢の千歳桜」がある
   ▲(会津美里町雀林3番山下3554
     会津美里町商工観光係 Tel: 0242-56-4914)
<御詠歌> 巡り来て 西を遥かに 眺むれば 雨露しげき 古方の沼


 
第三十番 中田観音  第三十番 中田観音

   ・十一面観世音菩薩
   ・弘安寺(普門山、曹洞宗)

   ▲(会津美里町米田字堂ノ後甲147
             Tel. 0242-78-2131)
<御詠歌> 巡り来て 四方の千里(ちさと)を 眺むれば これぞ会津の 中田なるらん


 
第三十一番 立木観音  第三十一番 立木観音

   ・十一面千手観世音菩薩
   ・恵隆寺(金塔山、真言宗豊山派)

   ▲(会津坂下町大字塔寺字松原2944
              Tel. 0242-83-3171)
<御詠歌> 遥るばると 参りて拝む 恵隆寺(えりゅうでら) いつも絶えせぬ 松風の音


 
第三十二番 青津観音 第三十二番 青津観音

   ・聖観世音菩薩
   ・正徳寺(浄土宗)
   ・御朱印は、浄泉寺。
   ・永禄11(1568)年、青木村に建立されたが、
    慶長16(1611)年の地震で青津に移された。

   ▲(会津坂下町大字青木字青木66 Tel. 0242-82-3660)

<御詠歌> 春は花 夏は青木に 繁りつつ 秋は紅葉に 染むる露しも


 
第三十三番 御池観音  第三十三番 御池観音

   ・聖観世音菩薩
   ・西光寺(羽黒山、曹洞宗)

   ▲(会津坂下町大字御池田字寺ノ前152
                Tel. 0242-82-2479)
<御詠歌> 参るより 恵も深き 御池の 池の蓮は 我を待つらん


 
番外 浮身観音  番外 浮身観音

   ・聖観世音菩薩
   ・龍興寺(道樹山、天台宗)

   ▲(会津美里町字龍興寺北甲2222-3
              Tel. 0242-54-2446)
<御詠歌> 浮身をば 救け給えや 観世音 導き給え 弥陀の浄土へ


 
番外 柳津観音  番外 柳津観音

   ・福満虚空蔵菩薩
   ・円蔵寺(霊厳山、臨済宗妙心寺派)

  ▲(柳津町大字柳津字寺家町甲176
            Tel. 0241-42-2001)

<御詠歌> 柳津は 岩に(そび)えて 懸造り 前には只見の 舟の浮きはし


 
番外結願所 鳥追観音  番外結願所 鳥追観音

   ・如法寺(金剛山、真言宗)
   ・隠れ三猿は左甚五郎の作
   ▲(西会津町野沢字如法寺乙3533
              Tel. 0241-45-2061)

<御詠歌>  金剛(かねこわ)き 山の如きの (のり)の寺 まこと大悲の 浄土なるらん


<会津三十三観音御詠歌(歴史春秋社)など参考>

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